SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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ミスマルカ興国物語III

[著者:林トモアキ/イラスト:ともぞ/角川スニーカー文庫]★★

 マヒロの真意は得体も底も知れず、ってとこか。帝国介入によって混戦模様を呈した商業都市での紋章争奪も、終わってみれば巧みな言葉回しと知略に長けたマヒロ王子の独壇場。馬鹿丸出しな行為は控えめな代わりに、緊迫した会話シーンでの描き引き的な見せ場が満載で非常に面白かった。ただ、本当に本当のマヒロの本心ってやつは、やっぱりどれだけ注意深く眺めてみても掴めんなぁ(万事有利に解決収束したかと思えば、直後あっさり敵に塩を送ってみせたりね)。

 手近な案件をこなしつつ、その視線は今よりずっと先へ向いているような、そんな印象をマヒロからは受ける。例えば何気ない言動や行為が、紋章を集めて聖魔杯を手に入れた更に先を見据えてのものだったりとか……買い被り過ぎかなぁ? でも、彼の真意が何処へ向かって行くのか、益々楽しみになって来た。

既刊感想:II