異世界スーパーマーケットを経営します 〜召喚姫と店長代理〜

[著者:柏木サトシ/イラスト:なかばやし黎明/ファミ通文庫]★★

 第17回えんため大賞『特別賞』受賞作。
 戦闘技能ではなく、経営能力で俺TUEEEEを
やるのもなかなか面白いものです。実際にはそこま
で露骨ではなく、主人公の勇悟がスーパーマーケッ
ト経営で無双しているわけでもないのですけど。
 異世界側から招き入れられるタイプの異世界転移
で、勇悟が招かれた理由も意味も明確に描かれてい
るのが良いですね。ここが最初にソレイユから告げ
られているので、違和感を抱く事無く異世界で勇悟
が商業経営に携わるのを受け入れる事が出来ます。
 ある程度は経験や知識も通用するけれど、一定以
上になると跳ね返されてしまう。想定外の妨害に対
処し切れず崩れそうにもなる。それでも懸命に奮闘
する未熟者。とても活き活きと輝いて見えました。

異世界家族漂流記 不思議の島のエルザ

[著者:松智洋/イラスト:おにぎりくん/ダッシュエックス文庫]★★

 家族で異世界漂流。集団でというのはあったよう
な気もしますが、家族でというのは異世界が絡んだ
物語の中では触れた事がなかったかも知れません。
 そして、「そういえばそうだよなあ」と思い出さ
せてくれたのが、異世界人と会話で意思疎通が出来
ない事。なんか最初から会話出来るのが当たり前の
様に感じてましたが、こんな風にまともにコミュニ
ケーションなんて取れないものですよ。勿論もどか
しさはあるので何処かで救済措置はあって欲しいと
思いますが、それをどうやって盛り込んでくれるの
か想像しながら読み進めるのも楽しいものですね。
 だから、エルザと真城家の皆の気持ちがしっかり
通じ合えた時の嬉しさは格別のものがありました。

異世界娘と田舎生活 おい魔神、そっちは田んぼだ。

[著者:葉巡明治/イラスト:朝ノよー/ダッシュエックス文庫]★

 日常とは何か? 何気に日常という言葉を使って
いても、それって一体どういうものだろうか、と考
えてみる機会も無かったかも知れません。改めて向
き合うとなかなかに深いテーマ。ただ掘り下げは大
分浅かったです。惜しいなあと感じる所でした。
 何も特別な事はなく、ただ何となくダラダラと日
々を送る生活に『日常』を見出したのか。異世界の
魔神からすれば、地球の田舎暮らしなんて非日常の
風景だと思うんですけど、それを自分にとっての日
常にしたかったのか。真意の程は残念ながら掴み切
れませんでした。終盤で僅かに見え掛けたんですが、
ビネコは語る事をせず、セータローも彼女の気持ち
を察してか追求しようとはしませんでしたから。

英雄教室4

[著者:新木伸/イラスト:森沢晴行/ダッシュエックス文庫]★★

 ブレイドの「○%以上の力を出したら即死んでし
まう」の件について。あんまり気にしてなかったん
ですけど、この“○%”がどんどん低下して行く可
能性もあるのかなあ、そうなると万が一の時に全力
を出し切れない事もあり得るのかなあ……なんて頭
に浮かんだりもしました。深刻な事にはなり難い雰
囲気で通して来ているので、心配無用だとは思って
ますが、具体的に数値が出てしまうとブレイドの戦
いでの力加減がちょっと気になっちゃいますね。
 勇者力と決別して普通になりたいなら0%が最も
望む所ですけど、まあなんだかんだで捨て切れない
でしょう。切り札になる場面もありますし。無理を
せずに力と付き合い続けて行ければ良いですね。

既刊感想:

ようこそ実力至上主義の教室へ3

[著者:衣笠彰梧/イラスト:トモセシュンサクMF文庫J]★★★

 感情を素直に曝け出している人間の方が健全だっ
たりします。須藤、池、山内とか、女子なら軽井沢
や篠原、鈴音もこちらの部類に入るのかも。Dクラ
スを窮地に陥れてしまう火種になる場合も多々あり
ますが、それでも分かり易い安定感があります。
 対して、清隆の得体の知れなさは半端じゃないと
事ある毎に思い知らされます。誇張し過ぎか? と
気にする所もありましたが、今回の一件で遠慮なく
「お前が最も胡散臭い」と突き付けられるようにな
りました。間違い無くDクラス中で突き抜けて有能
なんですけど、事なかれ主義を貫く姿勢って何なん
でしょうね。清隆の過去や入学の真意などが明るみ
に出れば、もう少し違った目で見れるでしょうか。

既刊感想:

魔剣の軍師と虹の兵団IV

[著者:壱日千次/イラスト:おりょうMF文庫J]★★

 後で何回振り返ってみても、トリスタンのロリコ
ンカミングアウト&ルーナへの求婚の瞬間ばっかり
頭に浮かんでしまいます。終盤の難敵との死闘中に
やってくれやがる。本来ドン引きの筈なのに、ちょ
っとカッコイイと思ってしまったじゃないですか。
 物語を急速に畳もうとしているのがよく分かる、
完結巻らしい内容でした。ダラダラやるのは嫌です
けど、この展開ならもう少し引っ張ってくれた方が
嬉しかったかな? 平定までの戦争をじっくり描い
て欲しかったのもありますが、変態達の痴態をもっ
と眺めていたかった気持ちの方が大きいです。最後
の最後まで誰も彼もぶれない所が大好きでした。

既刊感想:IIIII

勇者と魔王が電撃同盟! キッカケは、お互いの恋を応援するため!?

[著者:あごバリア/イラスト:なつめえりMF文庫J]★

 相手の恋愛成就を応援しようと協力し合う者同士
が、その内互いに気になる存在に発展してゆくパタ
ーンなんじゃないですかこれは。……とか、ちょっ
とだけ期待を寄せていた流れにはなりそうもありま
せんでした残念。勇者と魔王がそうなっちゃったら
それこそ大問題ですけど、壁が高ければ高いほど燃
え上がるとも考えられますし。希望は捨てません。
 と言っても和気藹々と好きな相手と同居生活やっ
てる時点で、秘めた恋でもなければ深刻になりよう
も無いんですけど。お気楽な会話成分多めなので、
そこが楽しめるかどうかだと思います。同じ場所で
だらだら〜っとやってる手応えだったもんで、キャ
ラの印象は残っても少々乗り切れない感じでした。