SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

100ゴールドショップ『ウサギ屋』

[著者:猫之宮折紙/イラスト:村上ゆいち/ファミ通文庫]★★

100ゴールドショップ『ウサギ屋』 (ファミ通文庫)

100ゴールドショップ『ウサギ屋』 (ファミ通文庫)

 異世界仕様の100円ショップ(こちらでの通貨
はゴールド)って、一体どんなモノを店頭に並べて
売るんだろう? どきどきわくわくしながら開店の
時を待ち侘びてました。きっと宮兎が住んでいた元
の世界には存在しない想定外の凄いモノを準備して
るんだろう、なんて漠然と想像を巡らせてました。
 実際の所、現実世界でイメージが浮かぶ100円
ショップとは大差無い感じでした。逆に意外性を見
たような気もしました。日常生活必需品の内容は、
あっちもこっちもそんなに変わらないって事でしょ
うかね。低価格で高品質な上に機能性の高さを実現
するのはそんな容易ではない、と考えると宮兎のス
キルの使い方は理に適っているのかも知れません。

ブサイクですけど何か? 天才魔術師最大の欠点

[著者:黒峰シハル/イラスト:赤人/ファミ通文庫]★★

 第17回えんため大賞『特別賞』受賞作。
 ブサイク、と一口に言っても美的感覚は人それぞ
れなわけで、万が一にも否定する可能性とやらが現
れるかも知れない。日本人の感覚でブサイクに見え
ても海外で問うたらそうでもないような、大袈裟に
表現するとそんな奇跡に遭遇するかも知れない。
 ルクスには、そんな奇跡に出逢える事を期待して
ました。最初っから「めちゃくちゃ荒んでんなーや
さぐれてんなー」とか冷めた目で見てましたが、徐
々に「こいつ人生楽しんでるなー」とか愛着が湧く
様にもなりまして。ブサイクな上に性格が捻じ曲が
っているのを自覚している彼にも、何か幸せがあっ
てもいいじゃないかと。シーナの瞳にどう映ったか
は……最も楽しみ所なので伏せておく事にします。

異世界スーパーマーケットを経営します 〜召喚姫と店長代理〜

[著者:柏木サトシ/イラスト:なかばやし黎明/ファミ通文庫]★★

 第17回えんため大賞『特別賞』受賞作。
 戦闘技能ではなく、経営能力で俺TUEEEEを
やるのもなかなか面白いものです。実際にはそこま
で露骨ではなく、主人公の勇悟がスーパーマーケッ
ト経営で無双しているわけでもないのですけど。
 異世界側から招き入れられるタイプの異世界転移
で、勇悟が招かれた理由も意味も明確に描かれてい
るのが良いですね。ここが最初にソレイユから告げ
られているので、違和感を抱く事無く異世界で勇悟
が商業経営に携わるのを受け入れる事が出来ます。
 ある程度は経験や知識も通用するけれど、一定以
上になると跳ね返されてしまう。想定外の妨害に対
処し切れず崩れそうにもなる。それでも懸命に奮闘
する未熟者。とても活き活きと輝いて見えました。

異世界家族漂流記 不思議の島のエルザ

[著者:松智洋/イラスト:おにぎりくんダッシュエックス文庫]★★

 家族で異世界漂流。集団でというのはあったよう
な気もしますが、家族でというのは異世界が絡んだ
物語の中では触れた事がなかったかも知れません。
 そして、「そういえばそうだよなあ」と思い出さ
せてくれたのが、異世界人と会話で意思疎通が出来
ない事。なんか最初から会話出来るのが当たり前の
様に感じてましたが、こんな風にまともにコミュニ
ケーションなんて取れないものですよ。勿論もどか
しさはあるので何処かで救済措置はあって欲しいと
思いますが、それをどうやって盛り込んでくれるの
か想像しながら読み進めるのも楽しいものですね。
 だから、エルザと真城家の皆の気持ちがしっかり
通じ合えた時の嬉しさは格別のものがありました。

異世界娘と田舎生活 おい魔神、そっちは田んぼだ。

[著者:葉巡明治/イラスト:朝ノよー/ダッシュエックス文庫]★

 日常とは何か? 何気に日常という言葉を使って
いても、それって一体どういうものだろうか、と考
えてみる機会も無かったかも知れません。改めて向
き合うとなかなかに深いテーマ。ただ掘り下げは大
分浅かったです。惜しいなあと感じる所でした。
 何も特別な事はなく、ただ何となくダラダラと日
々を送る生活に『日常』を見出したのか。異世界の
魔神からすれば、地球の田舎暮らしなんて非日常の
風景だと思うんですけど、それを自分にとっての日
常にしたかったのか。真意の程は残念ながら掴み切
れませんでした。終盤で僅かに見え掛けたんですが、
ビネコは語る事をせず、セータローも彼女の気持ち
を察してか追求しようとはしませんでしたから。