SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ミスティック・ミュージアム

[著者:藤春都/イラスト:森井しづき/HJ文庫]★

 第2回ノベルジャパン大賞『佳作』受賞作。

 お茶目なエロジジイことパニッツィさんが、この物語で最も存在感を醸し出していたような? 常に慌てず騒がず動じずどっしり構えて冷静に捌く老獪な姿は頼り甲斐があって頼もしく……って、これ以上パニッツィさんを称えると、元々印象度でかなり負けている主人公ダドリー君の存在感が益々萎んでしまうな。

 そんなダドリー君。どうしても無難な存在以上には映ってくれないのは、やはりあまりに一般人過ぎるからだろうか。せめて彼(とパニッツィ)にだけアルダの幻影体が見える明確な理由でもあれば、もうちょっと注目の的になれたと思うんだけどなぁ。ほら、意味が見出せないから、結局「何故ダドリーには見えるの?」って疑問が残っちゃったから。まだそういう設定を隠してるだけなのかな?(今後目立てる要素でも出てくれば良いけど……)。アルダの傲岸不遜我な侭ぶりはツンさが可愛らしく描かれていてなかなか。