SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

帰宅戦争 帰りたいんだけど戦争起こしてもいい?

[著者:鬼火あられ/イラスト:ちり/富士見ファンタジア文庫]★

 第28回ファンタジア大賞『銀賞』受賞作。
 テンポは良くても平坦でした。テンポを著しく損
なってでもでこぼこした方が好みでした。無茶出来
るかどうかは物語の内容にもよるでしょうけど、も
っと帰宅同好会側に手段を問わず引っ掻き回して欲
しかった。相当の無茶は出来たような気がします。
 終盤の最終決戦では結構危険な行為も冒してまし
たけど。粉塵爆破とか。でも、最後まであんまり気
持ちが高揚しなかったり熱が篭らなかったのは何故
でしょうね。司令塔の太郎がテンション低めのキャ
ラだったからなのか。負けても負けても淡々として
いたからなのか。過去の経験から察するに、元々は
体育会の熱血野郎だったんじゃないかと思うのです
が。その辺の話も更に詳しく聞いてみたかった。

非オタの彼女が俺の持ってるエロゲに興味津々なんだが……

[著者:滝沢慧/イラスト:睦茸富士見ファンタジア文庫]★★

 第28回ファンタジア大賞『金賞』受賞作。
 これは絶対に何か裏があるだろう? とか勘繰っ
ちゃってすいません。あり得ない事が間違ってあり
得てしまってもいいじゃない、だって物語の中なん
だから。そう思う事で気持ちを落ち着けました。
 萌香が一真を好きになったあの切っ掛けだけで、
ここまでやるか? ってのが正直な所です。どんな
にエロゲの面白さを熱く語ろうとも、彼女にそれや
ったらドン引きされるのがオチでしょう。まあ脈あ
りだからぶちまける事が出来たのかのかも知れませ
んけどね。これで萌香に嫌な裏の面があったらどう
しようかと思いました。それこそ鬼畜の所業です。
 エロゲにしか出来ない事。どんなに熱く語った所
で、やっぱりそこはエロしかないと思うんですよ。

アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女

[著者:天城ケイ/イラスト:ニノモトニノ富士見ファンタジア文庫]★★

 第28回ファンタジア大賞『大賞』受賞作。
 長編が一本ではなく中編が二本の印象。盛り上が
りのピークはメリダとネルヴァの一騎打ち。ネルヴ
ァをもっとゲスな苛めっ子に仕立て上げてネチネチ
引っ張って、最後の最後でメリダがぶちのめすよう
な展開だったら更にスカッと出来たでしょうか。多
分それじゃあんまり後味良くなかったかもです。
 陰湿な苛めじゃなくて、好きな子にちょっかい出
したくなるような苛めっぽかったですけど。案外メ
リダの覚醒を一番嬉しく思っていたのはネルヴァだ
ったのかも……良い方に捉え過ぎでしょうかね。
 メリダの潜在能力は位階がどうであろうと関係な
く、その枠を超越した“何か”なのでしょうか。と
もあれ、どんな風に育ってゆくのか楽しみですね。

戦艦学園のグラムリッター2 転落の魔道士と迷える皇女

[著者:手島史詞/イラスト:カスカベアキラ富士見ファンタジア文庫]★★

 憧れの先生を後から入って来た生徒に掻っ攫われ
る感じでしょうか? しかも先生の『愛機』を扱う
後継者として育てようと言うんだから、先輩達は心
穏やかじゃないわけです。彼女達の指導官である蒼
真は、どっちつかずの優柔不断ダメ男じゃなくて心
底ホッとしました。異性と接する機会があまり無か
ったとか言ってたので、ちょっと心配してたんです
けど。上手く噛み合わない所をしっかりフォローし
つつ、更なる強さを引き出す手腕はさすがですね。
 そんな騒動を抜けて今回の終盤。龍甲艦ヒリュウファフニールに狙われているのは人為的なものら
しい事実が発覚した所で、さて次はどう動くか。犯
人やら内部進入やら、不穏な様子が気掛かりです。

既刊感想:

戦艦学園のグラムリッター 問題児な魔道士と愚劣な指導官

[著者:手島史詞/イラスト:カスカベアキラ富士見ファンタジア文庫]★★

 数人でチームを組む事になった場合。余程関心が
無いとかでなければ自分以外の相手の事が気になり
ます。共同で作業するわけですから。うまく協調出
来る人、なるべく距離を置きたいと思う人、歩み寄
るのが苦手な人、などなど様々あると思います。
 そんな何らかのチーム行動の様子を見ていて「い
いな」と感じられるのは、最初から順調に円滑に進
んで行くもの……ではなくて。実は、関係が最悪だ
ったり劣悪だったりな所から、徐々に良好な関係に
なり絆を深めて行くもの、だったりするんです。
 この三人の少女達は、最初からそこまで酷いもの
じゃなかったですけどね。苗字呼びから名前呼びに
変わった時とか、特にいいなあと思える瞬間です。