SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?4

[著者:井中だちま/イラスト:飯田ぽち。富士見ファンタジア文庫]★★

 真人、ワイズ、メディの3人。相変わらず超有能
な真々子さんとポータを前に、さっぱり活躍の場を
与えて貰えない不憫さよ。戦闘能力としての実力は
確かなものなのに、どうしても存在感がネタ要員に
塗れてしまう。なので、終盤のこの展開にはなかな
か熱が入りました。珍しく真々子さん抜きの別行動、
千載一遇のチャンス。真人の時なんか思わず喜びに
同調してしまう程でしたからね。まあ結局母親の恩
恵ありきの輝きでしたけど、勇者らしい活躍がちょ
っとだけでも見れたのは何となく嬉しかったです。
 ところで、暫し架空現実のゲーム内である事、そ
して確か存在していた筈の目的、うっかり忘れてし
まいそうなので、たまには触れてあげて下さい。

既刊感想:

ジャッジメント/ブラッド 真祖の帰還

[著者:長谷部雄平/イラスト:ビョルチ/富士見ファンタジア文庫]★★

ジャッジメント/ブラッド 真祖の帰還 (ファンタジア文庫)

ジャッジメント/ブラッド 真祖の帰還 (ファンタジア文庫)

 第30回ファンタジア大賞伊藤智彦特別賞』受賞作。

 保守か革新か、過去から受け継いで来たものを重
んじるか現代社会に合わせた変化を求めるか、旧態
依然とした現状を維持するか前に踏み込んで停滞を
ぶち壊すか……これらと似たようなモノが、吸血鬼
社会における能力に対して盛り込まれていました。
 “変えるか変えないか”の考え方だけならば、正
直ヴィクトリアよりも燦に賛同したい気分で。種の
新たな可能性と発展に繋がるならば、燦のような意
見もありなんじゃないかなと。もっとも、その思想
が人間社会で害悪になっちゃってるのが大いに問題
なわけで。吸血鬼が革新という名目で勝手やって、
人間が危害加えられたんじゃ堪りませんからね。結
局ヴィクトリアの抑止の側を支持するしかないと。

お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか

[著者:はむばね/イラスト:sune/富士見ファンタジア文庫]★★★

 第30回ファンタジア大賞『金賞』受賞作。

 いやむしろ何故今までバレなかった!? 護常が
フォローする前はどうやって身バレ防いでいたんだ
よその辺り詳しく教えてくれよおおお。例えば正体
気付いてない人には真帆がどんな迂闊な行動取って
も絶対バレないとか、なんか見えない力でも作用し
てるんでしょうかね。結局真相は闇の中でしたが。
 考え方がちょっとどうかしている4人が織りなす
勘違いに次ぐ勘違いの連鎖、全て一方通行の思考の
バランスが実に絶妙でとても面白かったです。でも
これだと真剣に恋に悩んでる真帆がちょっと不憫だ
なあ……。護常も決して間違ってはないので責める
わけにもいかず。いずれ何かの切っ掛けを経て、爽
快な気付きの連鎖でも起こって欲しいものですね。

恋愛至上都市の双騎士

[著者:篠宮夕/イラスト:けこちゃ/富士見ファンタジア文庫]★★

恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)

恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)

 第30回ファンタジア大賞『金賞&審査員特別賞』受賞作。

 見てるこっちがドン引きする程の、鬱陶しいいち
ゃいちゃかと身構えつつ想像していました。実際に
はそんなでもなかったような印象で。そもそも勇也
は恋愛感情を抱いているわけじゃなく、藍葉は恋愛
感情を絶対知られないように振舞っているので、自
然に人目をはばからずいちゃいちゃとはなり難いで
すよ。互いに与えられた役割をこなして頑張ってい
る上での“いちゃいちゃ”みたいな。そう言う意識
で描かれていたので受け入れ易かったですけどね。
 ドタバタな名コンビから、真のいちゃいちゃバカ
ップルにレベルアップする為には、やっぱり勇也が
藍葉をどう思っているか次第なのかなあ。次は勇也
の藍葉に対する気持ちを更に見せて欲しいかも。

カネは敗者のまわりもの

[著者:玖城ナギ/イラスト:Mika Pikazo富士見ファンタジア文庫]★★

カネは敗者のまわりもの (ファンタジア文庫)

カネは敗者のまわりもの (ファンタジア文庫)

 第30回ファンタジア大賞『大賞』受賞作。

 金の力で何でも買える。強気な誇張と思われてい
た言葉が、大袈裟でも何でもないただの真実として
描かれているのを終盤で目の当たりにして、背筋が
凍るようなゾクッとした感覚を味わわされました。
 半ば勢い任せで一気に押し切るような雰囲気だっ
たので、細かい事を気にすると、金融絡みの部分に
関しては時折もうちょっと把握し易くやわらかい説
明が欲しいとも思いましたが。それでも、有無を言
わさず畳み掛ける圧倒的な“カネの力”による蹂躙
描写は、足りない所を補って余りある良さでした。
 これで夢を奪われた資産家達が、連鎖的に救われ
る手立ては見つかったわけですけど、敗斗自身が救
われてない事から続く見込みはまだあるのかな?