SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

最果てのパラディンIII<下> 鉄錆の山の王

[著者:柳野かなた/イラスト:輪くすさが/オーバーラップ文庫]★★★

最果てのパラディンIII〈下〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

最果てのパラディンIII〈下〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

 言葉の通じない災厄ならば、まだやり易かった
のかも知れない。もっともどんな状況であれ、挑
んだら敗北と死の予告は免れず、力量や存在感な
どで圧倒的な差は最初からあったわけですが。
 それにしても災厄の邪竜ヴァラキアカ、滅ぼす
べき敵対者ながら実に魅力溢れる“絶対悪”とし
て描かれていました。会話による駆け引きから始
まり、小手調べの衝突を繰り返し、やがて本領発
揮で圧倒してからの止めの一撃、そして最後にウ
ィルへ刻んだ決して拭い去る事の出来ない己の存
在まで、その戦い振りに魅了されっ放しでした。
 その望んでいなかった力に対して、ウィルが今
後どう付き合って行くのか、興味深い所ですね。

既刊感想:IIIII<上>

最果てのパラディンIII<上> 鉄錆の山の王

[著者:柳野かなた/イラスト:輪くすさが/オーバーラップ文庫]★★

最果てのパラディンIII〈上〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

最果てのパラディンIII〈上〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

 獣の森の『ヒイラギの王』から破滅の予言を受
け、かの『不死神』から挑めば必ず敗れ死すと親
切かつご丁寧に念押しされ、己が信仰する『灯火
の神』からも敗北濃厚を告げられ、果たしてウィ
ルがどんな決断を下すのか。ここが大いに見物で
したが、まあやっぱりと言うか何と言うか、ウィ
ルならそうするだろうなあって回答でしたね。
 ここからどう災厄を攻略して行くかは下巻へ持
ち越しでしたが、今回最後に嬉しい事が待ってい
ました。普段は領主と聖騎士の顔で振舞っている
ウィルも、ここではおじいちゃんに甘える孫の顔
で。元々気負いは無いようですが、素を曝け出す
事で肩の力が抜けて良かったんじゃないかな。

既刊感想:II

最果てのパラディンII 獣の森の射手

[著者:柳野かなた/イラスト:輪くすさが/オーバーラップ文庫]★★

最果てのパラディンII 獣の森の射手 (オーバーラップ文庫)

最果てのパラディンII 獣の森の射手 (オーバーラップ文庫)

 ウィルにとって初めての外の世界。家族の温か
い眼差しに見守られながら、平穏と安らぎに満ち
溢れた雰囲気の中に在るのも居心地が良かったけ
れども。未知の世界を知り、自分と家族以外の他
人との出逢いと触れ合いなどを経て、見識を広げ
ながら充実感や達成感を得る日常もまた良いもの
だ。そんな風に感じさせてくれる内容でした。
 あとは、こうしてウィルが家族と別れ自分の意
思で自由に立ち回るようになって、改めて彼の規
格外の強さを見せ付けられましたね。友人となっ
たメネルが言った様に、実力を見誤り侮り過ぎて
いた、と。今後は『獣の森』と『白帆の都』を拠
点に、その力が振るわれる事になるのでしょうか。

既刊感想:

黒鉄の魔法使い1 無才な弟子の修行譚

[著者:迷井豆腐/イラスト:にゅむ/オーバーラップ文庫]★★

黒鉄の魔法使い 1 無才な弟子の修行譚 (オーバーラップ文庫)

黒鉄の魔法使い 1 無才な弟子の修行譚 (オーバーラップ文庫)

 元気で無邪気で明るく素直で天真爛漫、その癖
やってる事がかなりえげつない。前触れなく異世
界転移した女子生徒が、何の躊躇いも迷いもなく
平然とした表情で人間を殺めているんですよ? 
 たとえその相手が、殺られても文句の言えない
非道を重ねて来た犯罪組織の一員だったとしても、
この所業にはちょっとドン引きせざるを得ません
でしたよ。師匠も同じ異世界転移者ならば、前世
の記憶を失っていても弟子のやってる事が異常だ
と分かってるでしょうに、思わず「止めろよ!」
って言いたくなってしまったじゃないですか。
 そう言う育成を後押ししてるんだから仕方無い
のか。悠那の精神状態が心配で堪らないです。

外れスキル[地図化]を手にした少年は最強パーティーとダンジョンに挑む1

[著者:鴨野うどん/イラスト:雫綺一生/オーバーラップ文庫]★★

 第4回オーバーラップWEB小説大賞『大賞』受賞作。

 十代半ばで既にこの先の人生が決定付けられて
しまうような強制的仕様。直面する度に如何なも
のか、何か救済措置は無いものか、なんて思わさ
れてしまうもので。とりわけこの物語の主人公ノ
ートのように“外れ”を引いてしまった時とか。
 大抵の場合はたとえ無慈悲な所業に見えたとし
ても、その世界ではごく当たり前かつ常識的な事
なんだろうなあ、とか納得させたりしています。
 その辺りを考慮して、ノートは本当に外れを引
いたのみでパッとしませんでした。が、モノ(ス
キル)は使いよう、要は本人の気概次第と言った
具合で。今回はまだ本領発揮とはなりませんでし
たが、次は修行の成果を見せて貰えるでしょう。