SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

信長と征く1 転生商人の天下取り

[著者:入月英一/イラスト:宮下英樹/レジェンドノベルス]★★

 織田信長全盛期の少し前辺りに転生した主人公が、商人となって信長の天下取りに深く関わって行く物語。

 戦によって銭の動きが大きな鍵を握って行くであろう展開。そこに武将として家臣としてではなく、商人として立ち回る所が主な特徴でしょうか。

 過去の信長主役の戦国時代を辿る……言わば史実をなぞる様に、主人公・大山源吉(浅田屋)が商人として深く踏み込んでいる。ただ、彼は自分の行動によって歴史が改変する事にあまり躊躇を見せないからか(むしろ優位に進むなら改変上等みたいな)、戦国時代によく似た“別の異世界”のような印象もありました。

異世界の名探偵1 首なし姫殺人事件

[著者:片里鴎/イラスト:六七質/レジェンドノベルス]★★★

 異世界名探偵を誕生させる前の下準備として、まず“魔術があれば何でも出来る”に制約を設けて、魔術の力で出来る事と出来ない事を明確に線引きしている。そのお陰で異世界転生者のヴァンが探偵の経験を活かせる。こうして順序立てて世界観を組み上げ、異世界・魔術・探偵を融合させて行く辺りが特に印象に残りました。

 殺人事件とトリックや推理や解明についてはあまり深く考えないで読む方なのですが、こちらも充分惹き込まれる内容で面白かったです。最後にしこりが残るような、事件当時のキリオの行動に関してはちょっとだけ気になりましたが、ヴァンとの今後の関係でキリオの性質がどう表れて行くでしょうか。

最低皇子たちによる皇位争『譲』戦 ~貧乏くじの皇位なんて誰にでもくれてやる!~

[著者:榎本快晴/イラスト:nauribon/角川スニーカー文庫]★★

 皇族の中には皇位継承に無関心だったり消極的だったりする人物もそりゃ居るでしょうけど、皇子皇女が全員揃って全力で相手に“譲ろうとする”戦いとか……皆揃って頭おかしい。誇張じゃなく実際どいつもこいつも頭おかしい。

 血筋を絶やさないよう強制的にとか、兄弟姉妹の一人くらいは野心を抱いている奴とか、そういうの一切ありませんでしたからね。「面倒臭いから嫌だ」の一心でひたすら皇位継承から離脱しようと企む展開、妙に新鮮に感じてしまいました。

 しかし超絶問題児達を持て余し気味ながらもしっかり制御してる皇帝って、実は相当の傑物ではないでしょうか。これなら当分皇位なんて譲らなくて良い気もする。

落第賢者の学院無双 ~二度転生した最強賢者、400年後の世界を魔剣で無双~

[著者:白石新/イラスト:魚デニム/角川スニーカー文庫]★★

 魔術衰退の原因が本当に“彼”にあるのならば、そもそも400年前のエフタルが試した『適正検査』は果たして本当に正確なものだったのか。真偽の程が追究されないのは、“彼”の研究成果だから万が一にも間違いはない、と信じ込まれていたからか。

 エフタルに出た『無色透明』が本当に才能無しの証なのかどうか……努力の積み重ねだけでここまで魔術能力を向上させる事が出来るのか? もしかしたら本当に才能無しなのかも知れませんが、エフタルにそう思い込ませるよう“彼”が仕向けた、とも考えられるんですよね。

 ともあれ、何故か400年前から現在まで、人間なのに生存の気配がある“彼”の行方が気になる所です。

女神に呼ばれた現代最強、闇堕ち勇者を倒しに異世界へ

[著者:西村京/イラスト:はる雪/角川スニーカー文庫]★★

 魔王を倒して平和が訪れた後の異世界。どんだけ居座り無法勇者が居るんだよ、って思わず突っ込みたくなるお話。笑い話では済まされず軽い話でも片付けられず、非常に厄介ながら興味深い部分も色々とありました。

勇者達の「元はと言えばお前が勝手に召喚したんだろ」的な言い分も全くの的外れではなく、だからと言ってそこに付け込んで度を超えた好き勝手やっていいわけでもないですが。元の世界に帰りたくないなら、異世界に居続けてこんな風に振舞いたくなるのもある程度は理解出来るかなと。

 とりあえず影介がそんな輩と一緒じゃなくて良かったよ。最初の頃の印象で戦闘狂いの脳筋野郎かと思いきや、意外と冷静かつ聡明で驚かされました。