SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

うーちゃんの小箱

[著者:和見俊樹/イラスト:アルデヒド角川スニーカー文庫]★★

 第20回スニーカー大賞『優秀賞』受賞作。
 本当は、自分自身で決めなければならない事なの
に、決定権を誰かに委ねてしまう。或いは、踏み止
まっても委ねたい欲求に駆られてしまう。そうなっ
てしまう場合は、ついとかうっかりとか、簡単にあ
っさりと出来るものではないのかなと思います。
 氷見伊助の場合、こんな感じだったのではないで
しょうか。自分で決められないのを誰かに投げてい
る、とも取れますが、投げられるだけの信頼みたい
なものを相手に抱いているから委ねる事が出来るの
かも知れません。そして、受けた相手も伊助を理解
したいからこそ、背中を押してあげたい気持ちにな
れたのかなと。進む道が決められず、もどかしい思
いもあったり、色々考えさせられるお話でした。

じっと見つめる君は堕天使

[著者:にゃお/イラスト:R_りんご/角川スニーカー文庫]★★★

じっと見つめる君は堕天使 (角川スニーカー文庫)

じっと見つめる君は堕天使 (角川スニーカー文庫)

 第20回スニーカー大賞『特別賞』受賞作。
 変化球的な事と言えば、堕天使が平凡な男子高校
生の下へ頭から突っ込んで来たくらいで。いやそれ
だけでも大したインパクトはありましたけど、その
先は案外真っ直ぐな学園青春ストーリー的な事をや
ってたんじゃないかなーと。サラサの存在をイレギ
ュラーなものと盛り込みつつ、恋愛と友情をストレ
ートに描いてくれている。こういうの大好きです。
 表向きはぐーたらで怠け者、でも本質はそうじゃ
ない。多大な迷惑を被りつつ、それでも体当たりで
向き合う浩之に触れて、徐々に良い方向へ変化を見
せるサラサの姿がとても素敵でした。二人の関係性
が非常に近しいものになってしまったので、単なる
パートナーから気持ちが動くかも知れませんね。