[著者:辻村深月/講談社 講談社ノベルス]★★★
スロウハイツの神様(下)
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辻村 深月 講談社 2010年01月
かつてチヨダ・コーキこと千代田公輝の心を救った匿名の投稿者、通称『コーキの天使ちゃん』の存在。おそらく“彼女”だろうという予感はあって、実際その通りだったのだけど……あぁ、そうか、そういう事だったのか……。
公輝の奇人変人染みたあの行為も、あの行為も、あれも、あれも、あれもあれもあれも! 全部“彼女”への想いが込められたものだったのかぁ。一番最初の「お久しぶりです」の台詞から既に裏に深い意味が込められたものだったのかぁ。いや、凄いなぁ。さり気ない仕込み方が本当にうまいなぁ。
想う相手にしっかり糸が繋がっているのに、繋がっている事実が互いに見えていなくて、でも実はずーっと前から相思相愛で。公輝のこれまでやってきた事が明るみに出た時、もうどうしようもない気持ちで満たされてしまった。
環が紡ぎ、環が解き、そしてまた再び環が紡ぎ解き放ったスロウハイツの物語。最後も幸せな結末を見せて貰えて良かった。
既刊感想:(上)