SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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ネコソギラジカル(中) 赤き征裁vs.橙なる種

[著者:西尾維新/イラスト:竹/講談社 講談社ノベルス]★★

 いーちゃんが友に対し、こういう風な事を告げたからには、せめて二人は幸せな結末であって欲しいと……そう願わずにはいられなかった。でも、彼が戯言でのらりくらりと身をかわしている限りでは、その言葉の数々は充分に活きて威力を発揮するのだけれど、稀に真剣に感情が乗るとどうも良い方向に転んでくれない。

 友に告げたその言葉がまさに全身全霊をかけた本心からのものだったから、「どうだろうな?」と危惧してたら……あ〜最後の最後でそうきたか。まあ詳細はまだ分からないので何とも言えないけれど……。

 そんな具合で最終章中巻。物語はめまぐるしく変化し転がり続ける。いや、しかし、こりゃ想像以上に予測がつかない展開だなぁ。誘いに乗って深手を負って、十三階段崩しという反撃に出てうまく行き始めた矢先に西東天が撤退宣言、かと思いきや崩し損ねた十三階段に襲われ、滅茶苦茶かっこいいタイミングであの人間失格が登場を果たしたり。あっちに振られこっちに振られ、読んでいるこちらは気持ち良い程翻弄されっ放しで。

 東西天との因縁。傍に取り戻した真心の事。友との未来。何となくそれぞれが独立した線が引かれている感じで、今の所はまだ複雑な交差が見られない。これが下巻で絡まり繋がり収束してゆくのかどうか。最後まで予測困難なままで突っ走って行って欲しい。

既刊感想:『戯言シリーズ』感想一覧