SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか?

[著者:岸馬きらく/イラスト:黒なまこ/角川スニーカー文庫]

 自殺志願者の少女を寸前で助けて、その場で「俺の恋人にならないか?」と告白。冷静になって考えると、結構な狂気をはらんだ行為だと思った。

 思ったんだけど、ただ、切羽詰まった状況的に、冷静な精神じゃ乗り越えられなかったのも確かで。小鳥の自死を思いとどまらせ、命を繋ぐ事が出来たのは、間違いなく祐介の告白の声でしたよね。

 あとはもう、祐介と小鳥の同棲生活が永遠に続けばいい、と願いたくなるような、穏やかな雰囲気と時間が流れて行く展開に。もっとも、そう願いたくとも、絶対に小鳥の不穏な家族環境は二人の障害となって絡んで来る、と感じてはいましたけど。

 他者の家族問題に、赤の他人が介入するのは色々問題で、更にそれを解決しようとするには壁が高過ぎる。終盤ヒヤヒヤ動向を見守ってましたが、かなりの修羅場だったもんで、心底ホッとしましたね。