［著者：東野圭吾／集英社］
帯に『映画化』とあったので、去年の秋ごろ興味を引かれて買ったら、映画化は続編の方でした、と（この一作目は既に2019年に映画化されてました）。
東京の高級ホテルが未解決連続殺人事件の次の舞台？ 確定的な手掛かりを掴んだ警察は、事件解決の為に大規模なホテル潜入捜査に乗り出す。主人公の刑事・新田浩介は、ホテルマンに変装して潜入捜査を命じられる。彼の教育係として付いた女性フロント・山岸尚美と共に、様々な訳ありホテル客の対応に追われながら、姿の見えない真犯人と事件の真相を進めて行く事になるが……。
中盤過ぎまでは、あまりに真犯人の姿が見通せなくて、新田と尚美と関わった“面倒臭い”客たちが、誰も彼も怪しく見えて仕方なかったです。「どうせ頭振りしぼってもひらめかないんだろうなあ」とか思いながら、まあそこは新田に任せてただ読み進めるのみでした。
そんな中で、新田にとって尚美の存在は凄く大きかったな、と。職業も立場も違うなかで、互いの『気付き』を突き合わせながら、徐々に徐々に思考が真相に近づいて行く。この辺りの展開、描写はとても良いなと思いました。警察や現場刑事の観点では浮かばない、尚美の“ホテル勤務ならでは”の発想や気付きが特に印象的でしたね。
