SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ

[著者:内藤了/講談社タイガ]

 警視庁の地下にひっそりと存在する、常識では裁けない『異能事件』を処理するチームの物語。

 主人公・安田怜は天涯孤独の身で、自分が持つ『霊視能力』を利用して金稼ぎを企て受けたとある案件で窮地に陥り、住む場所も資金源のアルバイトも失ってしまう。そんな怜に、異能処理班の班長・土門から声を掛けられる。事前に素性を調べ尽くされた土門の誘いに、全てを失った怜は抗えずに手を取る事になる。

 霊能を持った特殊な人達が、警視庁組織の中でも厳重に秘匿された場所で、特別な事件――いわゆる霊障関連の処理に対応すると言ったものです。話の中で個人的に興味深く感じたのが、霊障や悪霊そのものと『戦って完全消滅させる“ものではない”』と言う所。実際には、『消滅させる事が不可能だから“世間的になかった事になるように”処理する』です。

 やり方としては、封印とか隔離に近い処理法でしょうかね。主人公側の異能力などでねじ伏せるのではなく、異能の脅威に晒されながら現世から遠ざけようとする。そう言う意味での『異能処理』。この辺りの見せ方は、滅するのとは一味違っていてとても面白いなと思いました。