SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

転生したら皇帝でした2 ~生まれながらの皇帝はこの先生き残れるか~

[著者:魔石の硬さ/イラスト:柴乃櫂人/TOブックス]

 『これが終わりではなく、ここからが始まり』。この物語にとっては、とても重く響く言葉だと、今回の最後まで辿って強く思いました。幼皇帝カーマインにとっては、即位式典と同時の『反逆者断罪』を目指してここまで来たので、どうしても見ている側はその達成こそが“到達点”だと勘違いしてしまう。

 長期に渡って愚帝を演じて政敵を欺きつつ、裏工作を延々と積み重ねて着実に達成へと近付いて行く。その様子を眺めながらこのカーマインの到達を迎えて、「もうゴールでいいんじゃなかな?」とつい言いたくなってしまいました。魔力と言う切り札あるので危険は回避出来ていたかも知れないけれど、やっぱり見えない所での精神的な綱渡りは多々あったと思うんですよね。

 でも、良い意味で『やり切った達成感』は薄かったように感じました。カーマインからは、即位して反逆者を断罪した事は『通過点』であり、これからが皇帝としての本当の戦いだと言う静かで大きな気概が見られたので。新展開となるであろう次巻から、新皇帝としてどんな手腕を振るって行くのか楽しみです。

既刊感想: