SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

無人駅で君を待っている

[著者:いぬじゅん/実業之日本社]

 『もう一度だけ、どうしても会いたい人はいますか?』と、真正面から問い掛けられているような気持ちを抱きました。

 ただ、会いたい人は近しい存在で死別している事が前提で、その亡くなった相手に生前多大な影響を受け、喪った今もなおその人物に縛られ前に進めなくなってしまっている……そんな人が、出会う資格と権利を持っているのかなと。

 だとしたら自分はどうか? 色々と考えながら、各章ともにどっぷり感情移入してしまう内容に見入ってしまいました。どうやら私自身には、今の所資格も権利もないみたいです。

 もしも、今後誰かに対して「どうしてももう一度会いたい……」と言う気持ちになった時、もしかしたら真っ先にこの物語を思い浮かべる事になるのかも知れません。