SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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クスノキの番人

[著者:東野圭吾/実業之日本社]

 クスノキの『祈念』には何があるのか? 願いが叶うと言う噂は本当なのか? 主人公の玲斗の視点で追っていると、知らない事を知らないままで隠されたりはぐらかされたりするので、割ともどかしい気持ちが心にたまってしまうんですね。

 そんな玲斗が抱える謎や疑問が徐々に明らかになって行くに連れて、伯母の千舟やクスノキの祈念に関わる人達が『言葉では説明し難い』と彼に言う“意味”が分かるようになって、スッともやもやが晴れた気分にさせてもらえました。これは確かに“実体験をした人”でなければ分からない事だなと。

 真相語りは控えますが、とても厳かで、でも限りなく優しさに満ち溢れた『奇跡の出来事』であり、なんとなく『救われた』ような気持ちで満たされていた気がします。