[著者:雨穴/双葉社]
『変な絵』にまつわる不可思議な話を集めた短編集かと思いきや、章を読み進めるごとに新たな人間関係性が複雑に絡み合い、やがてひとつの大きな『真実』へとつながって行く。
この『変な絵』を題材に、至る所に謎や疑問を含ませながら興味を引く展開や構成、もうお見事と言うしかないほどどっぷりのめり込んでしまいました。
絵に含まれた事実の使い方に物語への絡ませ方や数々の伏線の仕込み方などが非常に巧く、下手に描けば複雑で把握し辛くなりそうな人間関係や出来事の繋がりなどがとても分かり易くて本当に面白かったです。
終盤での「そう言う事か!」の気付きの連続にも説得力と納得感に満たされていて、エピローグもどこか救いのあるホッとさせられる結末で良かったですよね。