SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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トンデモワンダーズ 下 <カラス編>

[著者:人間六度/企画・原案:sasakure.UK/メディアワークス文庫]

 自身がプログラムであり、その役割と存在意義をついに知った少女は、作られた世界でたったひとり現実と繋がる少年の心を救う事が出来るのか?

 上巻ではテラの行動と心の動きが主だったのに対して、この下巻はカラス=天島月彦の現実世界での状態、過去の父との確執、治療世界における存在と心の葛藤や揺れ動きなどが主に描かれています。

 もちろんそれだけでなく、存在理由を確信してどうにかカラスの心を救いたいと願う、テラの彼女らしい無茶通しな奮闘ぶりも大いに盛り上がを見せるひとつです。

 『プログラム』と『人間』……月彦が現実世界に戻れば決して共存する事は出来ない二人。どんな結末を遂げるのかと興味と不安交じりで追い続けていました。

 個人的には本当に大満足な結末のラストシーンで。最後の最後に『歌ってみる』で締める辺りは、何となく原作を意識されているかのような素晴らしい演出だなあと思いました。