SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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幸せジャンクション キャンピングカーが運んだ小さな奇跡

[著者:香住泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン]

 前触れもなく理不尽な失職を喰らって、社長から餞別代りにキャンピングカーを一方的かつ強引に受け取りながらも、主人公の浜浦ってどこか落ち着き払っていると言うか達観してるよなあって初期の頃の印象でした。

 60歳と言う年齢を考えたらある程度は落ち着いた心境になれるものなのか? しかしそれにしてもかなりの大事に見舞われても然程動じないのは、本当に中身が出来た人なのか、それとも複雑な事情を抱えているのか……なんて事を考えながら浜浦とキャンピングカーの行く先を追っていました。

 その辺りの事情は終盤で分かって来るんですけど……この物語を都合の良い展開と取るか、それとも浜浦の人間性が導いた必然と取るか。まああんまり捻くれた捉え方はしないように自重しながら、素直に出会いの数々と人生の挫折と好転を噛み締めるように読んでみました。