SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女

[著者:天城ケイ/イラスト:ニノモトニノ富士見ファンタジア文庫]★★

 第28回ファンタジア大賞『大賞』受賞作。
 長編が一本ではなく中編が二本の印象。盛り上が
りのピークはメリダとネルヴァの一騎打ち。ネルヴ
ァをもっとゲスな苛めっ子に仕立て上げてネチネチ
引っ張って、最後の最後でメリダがぶちのめすよう
な展開だったら更にスカッと出来たでしょうか。多
分それじゃあんまり後味良くなかったかもです。
 陰湿な苛めじゃなくて、好きな子にちょっかい出
したくなるような苛めっぽかったですけど。案外メ
リダの覚醒を一番嬉しく思っていたのはネルヴァだ
ったのかも……良い方に捉え過ぎでしょうかね。
 メリダの潜在能力は位階がどうであろうと関係な
く、その枠を超越した“何か”なのでしょうか。と
もあれ、どんな風に育ってゆくのか楽しみですね。

戦艦学園のグラムリッター2 転落の魔道士と迷える皇女

[著者:手島史詞/イラスト:カスカベアキラ富士見ファンタジア文庫]★★

 憧れの先生を後から入って来た生徒に掻っ攫われ
る感じでしょうか? しかも先生の『愛機』を扱う
後継者として育てようと言うんだから、先輩達は心
穏やかじゃないわけです。彼女達の指導官である蒼
真は、どっちつかずの優柔不断ダメ男じゃなくて心
底ホッとしました。異性と接する機会があまり無か
ったとか言ってたので、ちょっと心配してたんです
けど。上手く噛み合わない所をしっかりフォローし
つつ、更なる強さを引き出す手腕はさすがですね。
 そんな騒動を抜けて今回の終盤。龍甲艦ヒリュウファフニールに狙われているのは人為的なものら
しい事実が発覚した所で、さて次はどう動くか。犯
人やら内部進入やら、不穏な様子が気掛かりです。

既刊感想:

戦艦学園のグラムリッター 問題児な魔道士と愚劣な指導官

[著者:手島史詞/イラスト:カスカベアキラ富士見ファンタジア文庫]★★

 数人でチームを組む事になった場合。余程関心が
無いとかでなければ自分以外の相手の事が気になり
ます。共同で作業するわけですから。うまく協調出
来る人、なるべく距離を置きたいと思う人、歩み寄
るのが苦手な人、などなど様々あると思います。
 そんな何らかのチーム行動の様子を見ていて「い
いな」と感じられるのは、最初から順調に円滑に進
んで行くもの……ではなくて。実は、関係が最悪だ
ったり劣悪だったりな所から、徐々に良好な関係に
なり絆を深めて行くもの、だったりするんです。
 この三人の少女達は、最初からそこまで酷いもの
じゃなかったですけどね。苗字呼びから名前呼びに
変わった時とか、特にいいなあと思える瞬間です。

英雄都市のバカども2 〜女神と漢たちの祭り〜

[著者:アサウラ/イラスト:だぶ竜/富士見ファンタジア文庫]★★★

 長編では大きなひとつの事件を軸にした物語の厚
みを堪能し、それに対して短編集では登場人物達の
突出した個性を味わう。前回と今回、どちらも甲乙
付け難い面白さでしたが、好みで言ったら断然こっ
ちです。展開上の都合であまり陽の当たらなかった
脇役達の活躍を、日常茶飯事的な風景の中で見られ
るのは実に良い事です。まあリキュールの街では当
たり前の事が、他の所では「頭イカレてる」と捉え
られそうなのが問題と言っちゃ問題ですけどね。
 おっぱい、女体さすり、中年小太り下僕、褌一丁
の漢祭り。とても街の外には出せません。ただ、誰
も彼も好き勝手に欲望の赴くままに生きている様で、
ちゃんと上手く回ってる所は凄いですよホントに。

既刊感想:

できそこないの魔獣錬磨師4

[著者:見波タクミ/イラスト:狐印/富士見ファンタジア文庫]★

できそこないの魔獣錬磨師 (4) (ファンタジア文庫)

できそこないの魔獣錬磨師 (4) (ファンタジア文庫)

 貪欲に強さを求める姿勢は良いんですけど、ジナ
の好意を利用してまで突っ走るのはちょっと違うん
じゃないか? と思ったわけです。あんまりよろし
くないですねこれは。ジナは全然気にしてないよう
でしたけど、いい加減レインの鈍感さに嫌気が差し
て来ているのは拙いのかなあって気もしてます。物
語を楽しみ続けて行けるのかどうかと言う意味で。
 それでも変化は見られるので、初期の頃より大分
マシになってるのかなと思います。根本的にスライ
ム使いはモテない=俺はモテない=異性が俺を好き
になるなんてありえない、をぶっ壊さないとダメな
んですが。レインに大して期待が持てない以上、女
性陣が積極的に奮起するしかないんでしょうかね。

既刊感想: