SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

魔術破りのリベンジ・マギア 1.極東術士の学園攻略

[著者:子子子子子子子/イラスト:伊吹のつ/HJ文庫]★★

魔術破りのリベンジ・マギア 1.極東術士の学園攻略 (HJ文庫)

魔術破りのリベンジ・マギア 1.極東術士の学園攻略 (HJ文庫)

 どうも男キャラの影が一切見当たらない、と言う
事は! 女の子同士のいちゃいちゃを思う存分堪能
出来る仕組みなのでは……と思ってたら、アレがソ
レでナニでしたと。まあ何となく違和感があって気
なってましたけど、これはこれで良い具合ですよ。
 日本の陰陽術VS世界に広がる様々な魔術体系、
多種多様な術が繰り広げられる戦いがメインイベン
トでしょうか。別段魔術系列で敵対関係にあるとか
確執があるとか、そんな感じではないので、純粋に
個々の能力がぶつかり合う闘いを楽しめました。
 晴栄の目的は身内の存在を完膚なきまでに潰す事
ですが、異国に滞在しながら果たしてどのように立
ち回り、自らの野望へ近付いて行くのでしょうね。

戦うパン屋と機械じかけの看板娘7

[著者:SOW/イラスト:ザザ/HJ文庫]★★

 やっぱり戦争が残した後遺症は、なかなかルート
を自由にしてくれないです。歴史上から無かった事
にされた『ラプチュリカの虐殺』は、ワイルティア
軍と関係者には明確な弱味であり、闇に葬っておき
たい側と全てを白日の下に晒したい側との潰し合い
は続いている。少なくともこの問題が鎮火しない限
り、いつまでもルートは過去の呪縛から逃れる事が
出来ない。そして、今の所収束する目処は立ってい
ない。何とか苦しみから解放してあげたいですよ。
 今後は軍と平和教とがやり合う事になるんでしょ
うか。まあ何にしても今回、後味悪い結末にならず
胸を撫で下ろしました。とは言え彼女は無事とは言
い難いですし、どう扱われるのか気になりますね。

既刊感想:

戦うパン屋と機械じかけの看板娘6

[著者:SOW/イラスト:ザザ/HJ文庫]★★

 小休止的な短編集。もう幾度も「何の障害も与え
ずただただルートにパンを焼く仕事を存分にさせて
あげて下さい!」と願ってみても、どうしても元軍
人の呪縛が邪魔をする。これまで辿って来た状況を
考えたら、今回ルートがパン職人として、嬉しさや
喜びを隠し切れずに示していたのがとても印象に残
りました。ただ、このエピソードに最後にまた話を
ややこしくしそうな人物が出て来ちゃったので、ル
ートとの関係で色々とこじれそうな感じですよね。
 大規模戦争が残した様々な遺恨は、終結した今で
も至る所で燻り続けていて、結局時間が解決するま
では過去のルートが現在のルートに纏わり続けてし
まう。パン焼くだけの平穏はまだ程遠い感じです。

既刊感想:

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き!

[著者:内堀優一/イラスト:希望つばめ/HJ文庫]★★

 ラストのワンシーンで鳥肌が立ちました。ゾワゾ
ワっと。何故か頑なに事情を明かそうとしない小春
へのもどかしさ、これみよがしな日記の挿入、何か
あるだろうと感じさせつつの終盤の種明かしで、小
春の件に関しては納得出来るものではありました。
 しかし最後のアレには驚かされました。綺麗な形
で締めるものとばかり思っていた所にこの不意打ち
ですよ。真に病んでいたのは誰だったのか? 終盤
の種明かしまで全くそうだと感じさせる素振りは見
られなくて、それ故に得体の知れない感情を目の当
たりにしての鳥肌総立ちだったのかも知れません。
 もしこの雰囲気を背負って続いて行くのだとした
ら、気軽に気楽に眺める事は出来なさそうですね。

キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った

[著者:比嘉智康/イラスト:はっとりみつるファミ通文庫]★★★

 ずっと多人数でわちゃわちゃやってるなあ、とい
う印象で。正確には二人の多重人格者が計7人を演
じていたわけですが。本来、抱えていれば異常に見
えてしまうものが至極正常のようで、当たり前のよ
うに穏やかで賑やかしい日常が流れてゆく。ずっと
途切れる事無く続いていけばいい、と望みながらも
頭の片隅では「そうはいかないのだろうな」と、目
に見え難い不安定さを感じたりもしていました。
 最初の内は、多重人格が崩壊するのは市川櫻介で
はないかと思っていましたが、重責を背負っていた
のは彼女の方でしたね。終盤、“彼女”の柔らかな
口調での怒涛の告白は圧巻でした。「てきてよ」、
最後にこんな使い方されたら堪らないですよね。