SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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黄昏色の詠使いIII アマデウスの詩、謳え敗者の王

[著者:細音啓/イラスト:竹岡美穂/富士見ファンタジア文庫]★

 『名詠式』の本質の奥深くへ踏み込み始めた所。これまで張った伏線を少しずつ回収しながら、更に別の伏線を敷いて進んでいるような状況。今回は幾つかの視点から、それぞれがどのようにして『名詠式』に相対するつもりなのか? そこら辺の様子と、あとは「クルーエルって一体何者?」ってとこかな印象に残ったのは。

 ネイトの夜色名詠、クルーエルの“触媒を介さない”緋色の名詠、敵対者ミシュダルの灰色名詠……これらが誰に対してどのような影響を及ぼしてゆくか? と言うのはまだ明確ではなくて。ただ、現状を見る限りあまり良い方向へ行くような雰囲気ではないよなぁ。

 まだ名前だけしか出てない人も居れば、想像は付くけれども不明瞭で不確定な存在も居たり、名詠式の本質が深く語られるのもまだこれからの事だし、ネイトとクルーエルの関係も気に掛けたい所で、何かともどかしい思いに駆られてしまった今回。謎とされている部分が一つ一つ紐解かれる度に、嬉しさとか充実感とか、そういう気持ちが込み上げてくるような展開になって欲しいな。

既刊感想:III