[著者:樹林伸/KADOKAWA]
シリーズ第2巻。
今回の中で、白夜の出生の謎と抱えている秘密がすべて明らかになります。重大な秘密を抱いた白夜の身が危険にさらされる事により、前回より事件性の高いミステリ色が濃くなっている印象でした。
白夜の出生に関しては、予想してたのよりもっとずっと上を行くものだった、とでも言うべきでしょうかね。医療現場の物語としては、禁忌でもありながら究極的でもあり、ぴったりな要素だったのかな、とも思いました。
医療としては、特に『がん』の治療法を巡って、かなり力と熱意のこもった描写が展開されていました。この辺りは、相当な専門的言語と知識が盛り込まれていたので、正直読んでいてあまり理解出来ていた気はしませんでしたが……。それでも、場の雰囲気だけでも引きこませてくれる面白さは充分に感じられました。
ただ、ひとつどうしても気になる事があって。作中の『そもそもがんとは何か?』から発展しての『がんの治療法』について、果たして描かれていたことが実際の医療に基づいてなのか、それとも創作の部分が混じっているのか、と言う点です。
特に『抗がん剤』の危険性を白夜がうったえ、その上で代替治療法を提案している記述について。個人的にはがんになった事はないので、当然真偽は分かりません。『フィクション』との断りも特に見なかったので、実際の医療に基づいた描写と解釈しています。
既刊感想:千里眼のカルテ