[著者:有丈ほえる/イラスト:Nardack/GA文庫]★
知識ゼロから調べに調べまくって描き上げたそうですが、これって凄くないですか? 特に騎手視点でのレース中の臨場感は素晴らしいもので、騎手経験があるのか競馬に関わる職種経験者なのかと思ってしまいました。
競馬に関しては素人なので、そこが正しいか間違っているのかは正確には判断出来ません。ただ、素人感覚でも、読みながら『競走馬に騎乗している感覚』と言うものを存分に味わう事が出来ました。その辺りの描写は本当に凄く良かったですね。競馬そのものに関しては、“素人がちょっと知った程度”の感覚でも充分に理解出来ました。
レースだけでなく、『騎手と競走馬の交流』みたいな要素もとても読み応えがあって面白かったです。言葉は通じなくても心で理解し合える、みたいな騎手と競走馬の気持ち。「現実の場合はどうなんだろう?」と、考えさせる部分でもありました。きっと、言葉だけではうまく説明の出来ない、見えない所での感情的な“何か”があるんでしょうね。
終盤のレースも非常に熱い展開で良かったです。これは分類的には『スポ根』なのでしょうかね。ライバルたちとの「絶対に勝ちたい」みたいな意地と執念のぶつかり合い。ぜひ続刊でまた味わってみたいものです。