SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

楽園のカンヴァス

[著者:原田マハ/新潮社]

 世界の巨匠『アンリ・ルソー』と、彼が遺した名画『夢』、そして同じく世界の巨匠『パブロ・ピカソ』と彼の関係にまつわる物語。ルソーの『夢』と瓜二つな作品『夢をみた』、その所有者から真贋の見極めが二人のルソー研究者に委ねられる事になる。

 『夢をみた』は真作か贋作か? そもそもルソー本人と関りがある作品なのか? また『夢をみた』の裏に潜む見え隠れする謎と、強烈なピカソの存在感が意味するものは一体何か? 様々な謎と秘密を抱えながら、所有者が指示する“とある物語”を読み解きつつ、見極めを託された二人は互いに意識し合いながら真相を解き明かそうとして行く。

 とりあえず、美術的な作者や作品を知らない初心者や素人でも、充分に楽しめる物語だと思いました。個人的には、むしろ予備知識が何も入っていない方が素直に楽しめるんじゃなかな、と言う印象でした。正直どこまで史実か創作かは分かりませんが、その辺は知らなければ深く考える事もないのかなと。

 『夢をみた』に仕掛けられた幾つもの謎が全て解かれた時、とても充実した気持ちになれたので、それだけ物語を楽しめたのだと思います。読んだ後、美術館に行ってみたくなったり、ルソーやピカソについて知りたくなっている……かも知れません。あと、作中の名画を検索して調べてみるのも、楽しみ方の一つなのかなと思いました。