SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ウィザードグラス

[著者:根本聡一郎/双葉社]

 他人の端末機器の『検索履歴』を閲覧出来る端末機器『ウィザードグラス』の存在が引き起こす、世界規模の陰謀と騒動。

 もしも、全世界が情報発信から個人情報を握られ、強大な組織から常に監視され続け、一方的な支配下に置かれるような状況に陥ったとしたら? そんな現在社会に起こり得そうな“現実味”を、鳥肌が総立ちする程に強烈に意識させる物語でした。

 フィクションと断っておきながら、米国巨大IT4企業『GAFA』と、NSA(アメリカ国家安全保障局)が手を取り合って『世界人口総監視・情報総支配計画』を先導すると言う、なかなか挑戦的かつ挑発的な内容だなあと思わされました。

 あとは、こう言った支配下に置かれた状況での、『もしもSNS発信による拡散、炎上が意図的に操作されたものだったとしたら?』の恐ろしさを見せつけられた感じでした。

 最も効果的な対抗策は『ネット断ち』なのでしょうけど、分かっていても現実では「無理だよね」となってしまう。物語の中ながら、現実での情報発信との向き合い方を色々考えさせられてしまいました。