SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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呪われて、純愛。

[著者:二丸修一/イラスト:ハナモト/電撃文庫]★

 初っ端から、ドロッドロど修羅場な三角関係展開の臭いがプンプン漂っていて、そのただならぬ雰囲気にいきなり飲み込まれてしまいそうでした。しかし、実際の所は主人公・廻が事故で失った『記憶探しの物語』のような色が濃い内容でした。

 白雪の『純愛』、魔子の『歪んだ愛』の対比から生まれる“危うさ”も充分にありましたが、今回に関しては廻の記憶を辿って色々と思い出して行く過程が一番楽しめたかなと思いました。

 廻の潜在意識が『知りたいけど思い出さない方が良い』と警告する、失われた記憶。でも、白雪や魔子と接して行く内に『知るのは怖いけど思い出さなけばならない』と意識するようになる。

 失った不安、思い出す事への言いようのない恐怖、記憶がよみがえる度に白雪と魔子に対して浮かべる迷いや葛藤……そう言ったものが複雑に絡み合っていて、先を知りたい興味が最後まで尽きない程に夢中になりました。

 魔子の事情と廻の覚悟を受けた後で、先を知るのがかなり怖くなってますが、続きの展開が非常に楽しみでもあります。