SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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ママ友と育てるラブコメ2

[著者:緒二葉/イラスト:いちかわはる/ガガガ文庫]

 今回は、前巻からちょこちょこ気になっていた響汰と澄の『家庭環境』について。最悪、育児放棄とかじゃないんかなあ……と結構な不安を募らせていました。

 あまりに幼い想夜歌と郁の世話を響汰と澄に背負わせ過ぎだし、二人の話の中にもまるで避けるかの如く親の事がさっぱり上がって来ないもんで、どうなのかなあ……って感じで。結論から言うと、想像していた『最悪』とかではなく、その辺りについてはホッと出来ました。

 ただ、やはりどちらの家庭もそれぞれに『複雑な訳あり』には違いなかったですね。特に響汰の方は、一見すると母親が娘の想夜歌に興味ないような素振りで、分かり合えないのに“本当の母親”には敵わないと思い知る、響汰の憤りと挫折の気持ちが辛く切なく伝わって来ました。

 扱う内容の影響で、どうしても途中で重苦しい雰囲気になってしまうんですが、それでも最後は「良かったな」と思えるような展開でした。何よりも想夜歌の心からの笑顔が見れて、響汰じゃないけど嬉しさに満ち溢れました。

 一方で、母親との関係の問題に掛かり切りだったせいか、響汰と澄の恋愛感情的な進展はほとんど無し。ただ、澄の方は見逃せない変化も垣間見れたので、次こそは……と期待していたいですね。

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