SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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AX アックス

[著者:伊坂幸太郎/角川書店]

 『グラスポッパー』『マリアビートル』に続く、“殺し屋”が主人公の物語。東北新幹線の事件が触れられている事から、『マリアビートル』の後日の話のようです。

 ただ、前2作よりも登場人物達の関連性は薄く、数人の名前がチラッと出るだけで、内容的には舞台背景を同じくした新しいエピソードと言う印象。

 前作、前々作では、複数の登場損物と思惑が入れ替わり立ち替わりの目まぐるしい展開で、対して今回は基本主人公ひとりの視点で描かれている点もかなり手応えが異なるものでした。

 中盤まではサラリーマンと殺し屋の二足のわらじで、家庭と物騒な事件を往復しながら恐妻家があわただしく過ごして行く、みたいな結構のんびりした緩い空気感があったような。

 ただ、中盤の転換点を越えてからの仕掛けで、加速度的にテンポが上がり一気に緊張感が増して行く様子は、含まれていた“意外性”も含めてとても良いものでしたね。