SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

マリアビートル

[著者:伊坂幸太郎/角川書店]

 『グラスポッパー』の続編。とは言え、ひとつの物語として独立していて、舞台背景や一部の登場人物などが共通した後日の話です。

 今回は東京→盛岡間の新幹線内での騒動で、様々な登場人物達の視点と思惑が複雑に絡み合って進んで行く様子は、前作の構図をそのまま引き継いでいる感じでした。

 確実に違うと言えるのは、新幹線内での『逃げ場のない閉鎖空間』と言う所でしょうかね。追って追われて、逃げて逃げられ、みたいな“簡単に遭遇しそうでなかなか衝突しない”面白さともどかしさが同居するような、そんな印象でした。

 個人的には、終始胸くそ悪いクズ王子に対して「早くざまぁされねえかなあ」って眺めてました。何となく、意識的に読み手側にそう思わせるよう誘導しているような、嫌悪感が増し続ける王子の描写はなかなかのものでした。