SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

教室に並んだ背表紙

[著者:相沢沙呼/集英社]

 とある司書先生と図書室と本の出会いが、少女達の抱える様々な悩みを解きほぐして行く。

 大体がもやもやしたものか、胸くそ悪いものか、学校での人間関係(本書の場合は女子生徒同士)が非常に面倒に絡みつきまとう。軽度なものから深刻なものまで、少女達の内面の吐露を見ていて息苦しくて息が詰まるような思いがしました。

 鬱屈した気持ちを抱えながら、残酷さを知らない言葉や態度の刃に耐え、発散する術も分からないまま更に沈んで行ってしまう。そんな姿を見た後だからこそ、優しく寄り添うように親身に接してくれる司書の“しおり先生”の存在が、かけがえのない救いに映る。

 女子学生同士の面倒臭い人間関係問題を見せられて、結構気持ちが重くなる事の連続なんですが、最後にはしおり先生のお陰で必ず温かく優しい雰囲気を取り戻せる。とても心地の良い物語でした。