SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

神様の裏の顔

[著者:藤崎翔/KADOKAWA]

 善人のかたまりのようだった故人が、通夜の場で関係者から次々に『裏の顔=極悪人』の疑惑を暴露されてしまう。

 死人に口なしのごとく、たとえ事実でも虚偽でも死んでいるから何も言う事も出来ず、死者当人そっちのけで関係者達の証言を交え、超善人が極悪犯罪者に引っ繰り返される様を見せられる事になる。

 この一見関連のない人達全員が、故人・坪井誠造とそれなりの関わりを持ち、坪井の本性を暴き立てて行く展開が実に面白い。

 ただ、その中で「ちょっと待てよ?」と勢いにブレーキを踏み、「そんなあっさり善人が凶悪犯罪者に覆されるだろうか?」と読みながら疑念を抱き、実際その通りに物語が『再反転』して行く辺りは「見事なものだなあ」と。

 坪井のやっていた『本当の真相』にいち早く辿り着きたくて、最後の方までページをめくる手が止まらな程に楽しめました。

 手が止まったのは結末のオチを目の当たりにした時。確かに「ええっ!?」でしたけど、後味に関しては色々意見が割れそうかもなあって印象でしたかね。個人的には騙された所は良かったけど、この割とどキツイ真相にはちょっと引き気味だったかも。