[著者:池井戸潤/文藝春秋]
メガバンク内での訳あり銀行員達が繰り広げる、ドロドロに歪み腐り切った人間関係と薄汚い出世欲に塗れた物語。
『もしも本当にあったら怖すぎる話』『知らなかった方が良かった話』的な、でも実際本気でこう言うのが銀行内であり得そうで、その現実味に鳥肌総立ちの背筋が凍るような震えに苛まれてしまいました。
最終的に、舞台である銀行が隠ぺいした不正を白日の下に晒して、パワハラ塗れのクソクズ上司どもを一掃出来た事に対しては胸のすく思いでスッキリ出来ました。
ただ、真相の中心地にいた“彼”についてはもやもやしたものが残るものでしたが、それでもこう言う終わり方にするのもやむを得なかったのかなあ、と。
不正を暴いてズバッと解決、とかだったら後腐れなくて良かったんでしょうけど。まあ結局彼自身も決して清廉潔白なわけではなかったですし、フェードアウトで締めるのが一番しっくり来るのでしょうかね。