SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

コクーン

[著者:葉真中顕/光文社]

 『バタフライエフェクト』が主なテーマ。一羽の蝶の『ひと羽ばたき』が、巡り巡って地球の裏側で大きな影響を与えるようなもので。

 そこをなぞる様に、とある人の言動が全く別の人物や状況の変化を大きく揺り動かし、複雑に登場人物や物語が絡み合って行くような内容でした。

 相関関係の紐解きが鮮やかだったかと言えば、正直そうでもなかったような手応えで、最後まで割と曖昧かつぼんやりとした繋がりだったような印象。

 それでも、要所要所で「これは!?」とハッとさせられる気付きを仕込んでいる辺りは、なかなかの読み応えで面白かったです。

 過去の某宗教団体テロや大地震を思わせる部分は、やはりと言うか意識的に盛り込まれたもののようで。ラストで著者の仕組んだ意図に気付かされて『なるほど納得』と言った具合でした。