SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

私が大好きな小説家を殺すまで

[著者:斜線堂有紀/イラスト:くっか/メディアワークス文庫]★★★

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

 ラストシーン、のその先。きっとそう言う事なん
だろうなあと解釈しつつも、ここまで「頼むからこ
ちら側に解釈を委ねないでくれ」とか全力で逃げ出
したくなった結末も、そうそうお目に掛かれないも
のだと思いました。これが「そうじゃないて実は梓
は今も……」だったら別の意味であれですが、そん
な風にどの様にも取れてしまう辺りが何ともね。
 梓の遥川への執着を、正直甘く見てました。そう
思ったのは本当に終盤の辺りで、梓の矛先が別の所
へ向いた時に、そのおぞましい執着心を知って「う
へぇ」と情けない声を上げてしまったわけです。
 それにしても最後は本当に、呪いじゃないかって
程、暫くは頭にこびり付いて離れそうにないです。

常敗将軍、また敗れる2

[著者:北条新九郎/イラスト:伊藤宗一/HJ文庫]★★

常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)

 “どんな負け方をするのか”に楽しみを見出せる
のはこの物語ならでは醍醐味であり、また他ではな
かなか真似の出来ない強みだと、最良の敗北に拘り
続けるダーカスに改めて思い知らされた気分です。
 前回の膨大な時間を掛けての戦略とは対極にある
ような、ことごとく準備不十分な状態で挑まざるを
得なかった今回の一件。ダーカスだからどうにかな
る、と言う絶対の自信と信頼を抱きながらも、さす
がに彼の度重なる懸念がこうも悪い方へ的中してし
まうと、どんな展開になっても“最良”を手に出来
るのか心配ではありました。多数の依頼の中ではう
まく行った方で、もしかしたら今後想定した着地に
は至らない事も、或いはあるのかも知れません。

既刊感想:

救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由

[著者:有丈ほえる/イラスト:ちょこ庵/講談社ラノベ文庫]★★

救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由 (講談社ラノベ文庫)

救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由 (講談社ラノベ文庫)

 初っ端から“目覚めたら三千年後”って事実がな
かなかに強烈な印象として刻み込まれる。一言でさ
らっと告げられても実感が湧かず、リュトが把握す
るに連れてじわりじわりと染み込んで来るような。
それでも過ぎ去った歳月が半端ではないので、想像
の域を超えてる感じは拭い切れませんでしたが。
 そんな到底想像し切れない過去を、度重なる調査
と発掘を経て、欠けたピースを埋めるように真実を
掴み続けて行く遺跡探索。リュトの本質までも掘り
起こされてしまった事で、相当な大事になってしま
いましたが、それでも多分三千年の内の微かなごく
一部過ぎないのでしょう。一応リュトの件は解決し
たので、果たして次はどんな発掘が見られるのか。

おっさんと女子高生、異世界を行く1

[著者:青山有/イラスト:マニャ子/ヒーロー文庫]★★

おっさんと女子高生、異世界を行く 1 (ヒーロー文庫)

おっさんと女子高生、異世界を行く 1 (ヒーロー文庫)

 思春期特有の反抗期か? って位にやたらとおっ
さんに突っ掛かってくる高校生三人が鬱陶しくて仕
方なかったんですが。異世界来て洗脳されているの
を知って「そう言う事か」と納得しかけたものの、
飛ばされる前のバスの中でも大して変わらない態度
だったから、結局本質もこんななんだろうなあ。
 与えられた『ギフト』なるスキルを理解する時間
が必要だった為、蔵之介が静かに好機を待っている
間、高校生男子三人のクソどもにイライラしっ放し
でしたよ。それでも、きちっと紋章魔法、収納魔法、
融合魔法の組み合わせて無双してみせてくれたので
大分スッキリしました。琴乃との異世界間通信を活
用しながらどう道を切り開いて行くか見物ですね。

リオランド 02.星紡ぎの姫と聖なる獣

[著者:岩井恭平/イラスト:れい亜/角川スニーカー文庫]★★★

 やっぱりと言うか何と言うか、結局ミカドは自国
からこんな扱いされてしまったか。それでも獄中で
異世界の知識を存分に吸収する事が出来たのは、エ
チカと“魂の双仔”の禁忌で結ばれていたお陰か。
 本来なら二人が個人で交わしているこのやり取り
を、リオランド王国と地球人達の一国と一組織の規
模で実現出来ていたならば……とこの期に及んでま
だ未練を残して言いたくなってしまうわけですが。
 リオランド殲滅と新たな建国、これ以外の更に別
の真意を地球人達が抱えているようで、ただ今の所
まだそこまでは見通せていない。一方でリオランド
も最大の狂気を身内に孕んでいる事が発覚(ただし
気付いているのはミカドのみ)。双方がぶつかり合
う中で、色々な事が複雑に絡み合って来そうです。

既刊感想: