SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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娘じゃなくて私が好きなの!?

[著者:望公太/イラスト:ぎうにう/電撃文庫]★★★

純愛
 十年間も秘めていた巧の綾子への想いが真っ直ぐで深くて、関係を壊したくないと言い出せずに胸に仕舞い続けて来た姿が切なくて、一線を超えてしまったら余計に苦しさで振り回されてしまう。なんかこう、ぶわっと込み上げて来る一途な感情ってやつがもう堪らないですね。

障害は
 「大人」になってしまった綾子自身の内面、くらいじゃないでしょうかね。娘の美羽も巧の両親も認めてくれているので、外堀は完璧に埋まっている状態だし。ただ、『本音』と『建前』の間で悩む気持ちも凄くよく分かる。そんな綾子の葛藤が実に丁寧に描かれています。

『息子』と『一人の男性』
 巧に告白された事で、これまで息子しかと見てなかった所に異性を感じるようになって戸惑っている。重苦しく悩んで拒絶したかと思えば、その直後で思春期女子みたく嫉妬の念に駆られた行動取ったり。要は急激に環境が変化し過ぎて気持ちが付いて行けてないんですよね。

ゆっくり見守りたい
 巧と綾子の一対一の純愛を描いて行くそうなので、余計で面倒な介入はあまり心配しなくても良さそうかな? 綾子の方は簡単に気持ちに整理をつけて付き合う、とは行かないと思うので、じっくりと巧との恋愛を見守って行きたいですね。