SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

常敗将軍、また敗れる

[著者:北条新九郎/イラスト:伊藤宗一/HJ文庫]★★★

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

 第11回HJ文庫大賞『大賞』受賞作。

 ダーカス自身と深く関わらなければ彼の本質は
決して見えて来なくて、けれども大多数の人達は
彼の表面上の噂と不名誉な称号しか見えていない
為、ダーカスの思うがままに踊らされてしまう。
 最初の頃は武人としても策謀家としても凄味な
んて全然感じられなくて、頼りなさそうだなあと
思っていたものですが、周囲の反発を物ともせず
思惑通りに事が運ぶ度に、じわりじわりと得体の
知れない凄味が増して行くような感じでした。
 思い通りに負ける事ほど難しいものは無い……
負ける事で好転する状況にこそあえて深く踏み込
んでいるのかどうか。彼が途中で幾度も口にして
いた“本心”と言う言葉がとても印象的でした。

VRMMO学園で楽しい魔改造のススメ4 ~最弱ジョブで最強ダメージ出してみた~

[著者:ハヤケン/イラスト:晃田ヒカ/HJ文庫]★★

 NPCの英雄育成イベントを兼ねた、ギルド対
抗戦の続きと決着の巻。相変わらずNPCが全く
NPCっぽくない仕様で、VRMMOの枠の中で
その辺どうなってんの? って疑問は尽きません
が、やっぱり気にしても仕方なさそうなので、そ
ういうもんなんだと受け入れる事にしました。
 あとは“保護者参観”なんて言葉が出て来た時
に、ああそう言えばこれって学校の授業の一環だ
ったっけ、久々に思い出しましたよ。本来の蓮達
が受けている筈の、現実世界の授業風景なんて一
切無いですからね。なのでVRMMOの中に家族
を招いているのが新鮮に映りました。あきらと希
美の家系絡みでの関係の話も良かったですよね。

既刊感想:

魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?5

[著者:手島史詞/イラスト:COMTA/HJ文庫]★★

 思えば今回、ザガンとネフィが撒き散らす“い
ちゃいちゃ指数”が過去最低だったような、そん
な気もしました。ネフテロスとシャスティルがメ
インだった為、とにかくネフィの出番が少なめだ
ったのが影響していたのかも知れませんが。
 折角お互い意識し合ってようやく恋人同士であ
る事を自覚出来たと言うのに、ザガンがデートプ
ラン考えるだけで終わってしまうとは酷な仕打ち
ですよ。そうやってザガンとネフィのいちゃいち
ゃを阻んだと言う意味では、ビフンロスの遊び半
分の残酷な妨害工作に絶大な効果が表れていたわ
けで……ホント余計な事しやがって。微かに同情
の余地はあれども、最後はざまあみろでしたよ。

既刊感想:

Zの時間

[著者:榊一郎/イラスト:活断層/HJ文庫]★★

Zの時間 (HJ文庫)

Zの時間 (HJ文庫)

 オンラインゲームを抜けて現実戻ったらそこは
地獄でした、な状況でゾンビ感染拡大の規模が明
確に把握出来ていない上、一撃喰らったら即ゲー
ムオーバー(ゾンビ化)とか。こうして振り返っ
てみると、銃器類扱いの知識を有しているとは言
え、博明よく生き延びられたなあって。大半は本
当にただただ“運が良かった”としか言いようが
無いのですが、ゾンビ化した家族を躊躇いながら
も振り切り、生き抜く為の博明の行動力と判断力
と決断力。そして一撃死を抱えながらゾンビに立
ち向かう勇気には並々ならぬモノを感じました。
 根本的な原因が未だ不明なのでまだ何とも言え
ませんが、徐々に視野は広がって行く事でしょう。

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き!2

[著者:内堀優一/イラスト:希望つばめ/HJ文庫]★★★

 心を容赦なくグサッと突き刺しザクッと抉るよ
うな生々しい感触。悟郎に対して耐え難い苦痛が
押し寄せて来るのを目の当たりにして、目を背け
たくなる程の痛々しさに耐えるのに必死でした。
 もしも小春の存在が、ネタとしてコメディなノ
リで軽く扱えていたならどれだけ楽だったか……
と逃避したくなるくらいめちゃくちゃ重苦しい展
開で息が詰まりそうでした。もっとも、物語自体
には異常な程の没入具合だったので、相当惹き込
まれていたのも確かです。拡散の恐怖と圧倒的多
数の悪意の中、極少数の味方が居てくれた事に泣
きそうになりました。しかし小春の存在は未だ不
明瞭、先を追うのがちょっと怖い気もしてます。

既刊感想: