[著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/コバルト文庫]★★
シリーズ完結。初っ端からの彼女の最期を皮切りに、まるで連鎖反応を起すが如く波及し次々と……。ただ、志半ばでこの世に悔いを残して去ったのではなく、己がが成すべき事を最後まで成し遂げた上で逝く姿は、大きな救いとなって読み手側の心に刻み込まれた。
改めて思い返してみると、生き続ける者達に後を託して去って行った人達は、その殆どが自分が果たすべき事を納得のゆく形でやり遂げ、現世に悔いを残さず逝く事が出来たのではないだろうか? しかもそこに働いていたのは神に翻弄された意思とやらではなく、紛れもなく“人間としての意思”だったんじゃないかなと。
一方で生き続ける人達は、まだ現世に何かやるべき事が残されているから、ルトヴィア帝国崩壊の大惨劇をも生きて乗り越える事が出来た……と私は勝手に考えてるのだけど。それもまた神々の意思で“生かされている”のではなく、人間としての個々の意思で“生きている”のだと思うし、きっとそうであると信じていたい。
子供世代の話は、「いつか、書けたらいいなあ」という希望段階のようだけど、いつか読めたらいいなぁ。
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