[著者:水市恵/イラスト:カズアキ/ガガガ文庫]★★
代価として寿命10年か法外な大金を支払えば、向こう10年間の不老不死が約束される。人生が順風満帆か、そこまで行かずとも、現状の生き方に然したる不満もなければ、まずまともに受け入れる事は無いだろうお話。そして、必要である人にとっては、寿命や大金を削ってでも絶対手に入れたいだろうお話。
不老不死が欲しい人のショートエピソードを幾つか連ねて、最後に全てを収束させるという構成。仕掛けが分かり易いので意外性は薄かったけれど、第四話でひとつの場に集う登場人物達の描き方が絶妙で、全てを収束させての纏め方も良かったなぁと(和敏と優矢の関係だけは最後まで見抜けなくて驚かされた)。
しかし、結局『時間商人』については謎のままだったな。彼らはあくまで不老不死提供者で傍観者で、謎は謎のままで、物語が続いてもずっとその域は出なくて、詳細が語られる事は無いのかも知れない。
時間商人(不老不死、売ります)
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水市恵 小学館 2008年08月