SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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田中家、転生する。2

[著者:猪口/イラスト:kaworu/ドラゴンノベルス]

 エマさん、無自覚に王族貴族の男子どもを骨抜きにして虜にしてしまう。
 エマさん、無自覚に全方位に好感度を爆上げさせてしまう。

 いや、傍観者的立場で眺めている分には、とてつもなく面白いんですけど。エマの本心を知らずに巻き込まれている側は、ただただ「大変だなあ……」って感じです。なんて言うか、予測不能で回避不可の『天災(エマ)』をぶつけられているような雰囲気で。

 まあ結局の所、エマ自身にとっても相手にとっても良い方へ転がってくれるので、読んでいて心地良いんですよね。理不尽な目に合っている人――今回で言うならフランチェスカやハロルドなどが、エマの影響で人生好転するのを目の当たりにするのは、やっぱり良いものですよ。

 しかし、“目立たないように”を意識しまくった事が、ことごとく裏目に出まくってるんで、もうエマに『目立たない行動』は無理なんじゃないだろうか。押し付ける事は無謀なんじゃないだろうか。極めつけの皇国皇子との件で、心底そんな風に思わされました。

 それにしても、かつての『日本』に言語も食文化もまるで同じな皇国とは一体……。この事実、果たして重要なのかそうでないのか、どちらに転げるのか興味深い所です。

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