SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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刹那の風景2 68番目の元勇者と竜の乙女

[著者:緑青・薄浅黄/イラスト:sime/ドラゴンノベルス]

 今回は大きく分けてエピソードがふたつ。ひとつは、タイミング悪く獣人弟子のアルトを虐待している誤解を受けて、割と理不尽に行きがかりの獣人コンビに急襲されてしまうエピソード。

 これはセツナ視点で見てると、事情をロクに聞きやしねえわ勝手について来ながら殺気立てて挑発してくるわ、もうイラつきが収まりませんでしたよ。それでもセツナが相手の挑発に一切乗らず、冷静沈着に対応してくれたお陰で、獣人コンビの敵対心も和らいでくれてムカつきも収まってくれましたけど。

 ただ、理不尽な目には合ったものの、結構この辺りは頭を沸騰させつつも展開が面白くて夢中に読みふけってしまいました。違う価値観を持つ相手が、歩み寄って認めてくれる瞬間っていいもんだなと。敵意と殺意を向けられていた分だけ、誤解が解けてセツナの本音が受け入れられた事が嬉しかったですよね。

 もうひとつは、依頼をこなす途中で不慮の事故中で出会った『竜の乙女』に、セツナが勢い付いてプロポーズしてしまうと言うエピソード。一目惚れとは言え「いきなりかよ!」と思わず突っ込んでましたよ。

 でも、これはどうもセツナが受け継いだ『カイルの記憶』の影響が深く関わってるっぽいんですよね。眠っていたカイルの激情が引き金になった、ようにも見えましたが……まだ明確には分かりませんでしたね。

 セツナと竜の乙女・トゥーリ、色々なものが複雑に絡み合ってしまったままの関係がどうなって行くのか。常に近くに居られないのが分かっているだけに、今後二人の絆をどう描いてみせてくれるのかが気になります。

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