SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

田中家、転生する。3

[著者:猪口/イラスト:kaworu/ドラゴンノベルス]

 『皇国』が転生前の日本にそっくりな所は、結局根本的な原因ってのはよく分からないままでした。将軍だの天皇だのって地位が存在していたり、忍者を暗躍させていたり、どう考えても無関係ではなさそうなんですけど……。過去に田中家以外に日本からの転生者がいて、その知識を元に国が興されたって事なんでしょうかねえ。

 まあ、この物語にとって、もっと正確に言えばスチュワート家=田中家にとって、皇国の成り立ちや歴史的背景なんぞハッキリ言ってどうでもいいんです。田中家は日本食そのものな『皇国の食材』を心底欲しているだけなんです。何はともあれ「米! 米! 米!」です。

 その辺りの心事情が現地の人達には想定の範囲外で、それが「こいつら何言ってんだ?」とはならず、「我々には思い浮かびもしない名案!」と何故か誤解で称賛されてしまうのが凄い所で恐るべき所。

 エマの好感度も、本人は全く意識していないのにとどまる所を知らず爆上がり状態が続いています。とうとう『聖女』なんて呼ばれる始末。エマは自分の欲望を満たす為だけに動いていると言うのに、どこまでも無自覚に無意識なまま好転してしまうんだなあ……と、ついつい遠い目をしながら眺めてしまいました。

 次は、おそらくスチュワート家総出で皇国遠征になるのかなあと。魔物による危機から皇国を救う手立てに心当たりがあるようで、今度は皇国にまでスチュワート家とエマの名声が轟く事になるのかも?

既刊感想: