SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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モブから始まる探索英雄譚1

[著者:海翔/イラスト:あるみっく/HJ文庫]

 モブキャラ主人公ダンジョン探索冒険者が、『特別な召喚アイテム』を手にして成り上がって行くお話。……なんですが、この主人公の海斗、ハッキリ言ってチート級の召喚キャラを従えて戦っていても、なんか妙にパッとしない。モブはどれだけ強くなってもモブ、みたいな、なんでこうも平凡感が抜けきらないんでしょうかね。

 いや、でもそこが特徴的と言えるのかも知れなくて、カッコイイ主人公気質になり切れない面白さも感じられたりしたんですよね。自分のレベルに見合わない力を使役している感じなんですけど、海斗はそれを自覚しながら、地道にコツコツと一階ずつ確実に先へ先へと歩を進めている。その歩みは決して速くないし、海斗のレベルも高くないし正直大して強くもないけど、この物語での『小さな達成感の積み重ね』は非常に印象的で心に残るものでした。

 もしかしたら、海斗も知らない特別な力が、彼の中に秘められているのかも。強力な二人の召喚少女を使役出来たのも、ただの幸運や偶然ではないような気もしてます。