SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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がんばれ農強聖女 ~聖女の地位と婚約者を奪われた令嬢の農業革命日誌~

[著者:佐々木鏡石/イラスト:匈歌ハトリ/TOブックス]

 『農業』が世界を救う? 少なくとも主人公・アリシアの生活圏の土地に関しては、“農業生産があまりうまくいっていない”ような印象を受けました。そもそも気候や土地の環境自体が適していないのか、とも考えさせられたのですが。どうも過去の自然災害やらが致命的に悪影響を与えて徐々に衰退していった、っぽい感じのように見えました。

 かつては『聖女』呼ばれる存在の祈りによって、農業に悪影響を及ぼす天災を回避出来ていたらしく、それは偶然や神がかり的なものではなく、確かな実績らしんですよね。で、聖女になるはずだった所を強制的に除外されてしまったアリシア。祈りで人々を救えるかは分からないけど、他の誰よりも豊富な『農業知識』を用いて、農作物が育たず貧困にあえぐ人々を救う『聖女』になれるのかも知れない。

 最初は自己否定感が強くて前向きになれないアリシアでしたが、好意と信頼を寄せる婚約者ロランと、農業を通じて出会った人達からの信頼を得て、徐々に前向きな姿勢に変わり続けている。そう言ったアリシアの行動と姿も、この物語の大きな見所だと思います。