SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

その白さえ嘘だとしても

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 階段島シリーズ第2巻。階段島で個人のインターネット注文が出来なくなった事をきっかけに、小規模な島内で様々な謎が沸き起こり、色々な騒動が繰り広げられて行く。

 クリスマスイブの日に突如沸き上がった『クリスマスの七不思議』と、その話に絡んだ色々な『探し物』を様々な人物が探し求め、右往左往しながら問題解決の真相に向かう展開でした。七草にとっては、七不思議や探し物の騒動に巻き込まれたように“見せかけながら”、真の狙いは“魔女の正体に出会う”所にあったのかなと。

 『元の世界の自分の中から捨てられた自分』が、階段島に存在する『自分』だと言う事は確定されていて、じゃあその事実を知った上で「自分はどうしたいのか?」を、今は手探り状態で考えている最中なのかなあと思いました。

 どうにかしようとしても、どうにかなるものではなく、それは魔女の正体を知った所であまり変わらなかった気がします。複雑に絡み合った『探し物の問題』を解きほぐしてみせた七草の手並は鮮やか。でも、根本的に彼が望む“何か”にはまだまだ手が届いてない印象でした。

既刊感想:いなくなれ、群青