SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

神さまのビオトープ

[著者:凪良ゆう/講談社タイガ]

 夫を亡くした直後に、夫の幽霊が現れ見えるようになって、これまでと同様に一緒に暮らして行く。決定的に違うのは、その事実が他の誰にも伝わってくれない事。

 秘密を抱え、それでもいいと現状を望みながら、同時にいつその非日常が消えてしまうか分からない不安定な気持ちを抱えながら生きて行く。

 主人公・うる波と、夫の幽霊・鹿野くんの『非日常』を描きつつ、二人が出会う秘密と痛みを抱える人達との出会いを優しく切なく見せてくれる。

 「多分、永遠にこの状態が続く事はないだろうな……」と思うと、どうしてもうる波の未来に辛い面しか見出せなかったです。でも、彼女自身がそれすらも自覚して受け入れているのなら、今のままの鹿野くんとの状態でもいいのかな、と。