SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

悪魔公女

[著者:春の日びより/イラスト:海鵜げそ/Kラノベブックス]

 『現代の女子学生』→『転生して悪魔の異形に』→『再転生で異世界の赤子に』と言う転生の連続。基本は赤ちゃんから成長して行く異世界転生お約束的な展開ながら、終盤の種明かしで「そう言う事か!」と思わされた転生事情はなかなか興味深い所でした。

 主人公のユールシアが『神聖魔法』の適性を見出され『聖女』としての希望を人々から抱かれながら、本性は『悪魔の心』を隠し持っている所が大きな特徴。

 バレないよう隠そう隠そうとしているのに、実際は人間を『自分のエサ』としてしか見ていない本性を捨てる気もなく、この辺りに二面性の危険性とおぞましさを感じてしまいました。特に終盤の容赦ないエグさはヤバかったですね。

 ユールシアが好きとか守りたい相手には、今の所悪魔の本性を出したくないと思っているのは幸いなのかも知れません。ただ、執着し続ける魔界の『暗い獣』や、『金色の獣』としてユールシアが育てた魔物達が現世界に召喚されたら……と考えると、何となく可能性も高そうでゾッとしてしまいます。