[著者:エフ/実業之日本社]
ファミコン時代のドラゴンクエストを元にした感じの世界観。ゲーム設定を思わせる雰囲気ながら、実際の内容は商人の主人公・マルを通じて、『搾取する者とされる者』を非常に厳しく容赦なく描いたものでした。
人間の欲とか意地汚さとか愚かさとか醜さとか、そう言った『歪んだ側面』を次々に魅せられてしまうので、ちょっと「うへぇ……」と声を吐き出したくなったりもしましたね。
ただ、実はこの物語の『本性』はそこではなくて。真相は終盤で明かされるのですが、個人的な解釈で言えば『秩序への反逆』と『設定からの脱却』が、一番語りたかった事だったのかなあと。意表を突く種明かしはお見事で、食い入るように最後まで読み込んでしまいました。