SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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勇者殺しの花嫁I ―血溜まりの英雄―

[著者:葵依幸/イラスト:Enji/HJ文庫]

 主人公のアリシア、皮肉混じりの軽口や愚痴や暴言を普段から回しまくっているのは、本心を他者に悟らせない為の『自己防衛手段』なのか、と言う風に見えていました。

 多分自分ではうまい事やっていると思っていそうで、でも実は目ざとい人が見たらとても分かり易い性質なので、その辺は上司の枢機卿や英雄ヴァイスや同僚?のカームに見抜かれてるなあって感じでしたね。

 まあアリシア自身がそう言った性質を自覚していて、バレているのも承知の上で滑稽さを演じているようにも見えていましたが、いずれにせよ歪んではいるものの互いに信頼関係みたいなものは築けているのかなと。

 アリシアは『神々など存在しない』と分かっていながら偽りの信仰心を携え、勇者アリシオンを暗殺する任務を受けながら、共存生存の道を本心の奥深くでは無意識に求めている。歪んだままの心を見て見ぬ振りしながら、果たして勇者と並ぶ歩みはこれからどこへ向かって行くのか。